7 志波む桜
 天気の良い日の賀茂川堤は人々の憩いの場となる。桜の頃となると尚更である。

 賀茂川の右岸、御園橋(みそのばし)から葵橋(あおいばし)まで、樹齢百年は越えようかという桜や楓の巨木が並んでいる。子供の頃、夏になるとセミ取りに興じたものである。

 京都府師範学校(現:京都教育大学)の職員と学生達の手により植えられたことから、「師範桜(しはんざくら)」と呼ばれている。

 明治38年(1905年)賀茂川の美化と人材育成の拠り所として植えられたもので、染井吉野を主とする桜や楓などその数3000本にも及んだ大事業であったと言う。

 賀茂川で憩う市民に心地よい木陰をもたらしている木々達、先人の偉業である。記念の碑が出雲路橋(いずもじばし)のたもとに建ち「志波む桜」と記されている。



 子供の頃の府立植物園はまだ今ほどは整っていなくて、植物園沿い賀茂川左岸の小径はずいぶんと殺風景だった。昭和48年(1973年)当時の京都府知事の発案で整備され、紅しだれ桜が植えられて「半木の道(ナカラギノミチ)」として今や京都の桜の名所に数えられている。この道の街灯の電源は太陽電池でまかなわれており、当時としては随分先進的な取り組みであったと想われる。

 桜の頃に一度訪ねてみられる事をお勧めする。    TY
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